ところで、VERAはEHTとなにか関係があるんですか?
めちゃめちゃ関係があります。2012年のブレーザーとよばれる天体のジェットの構造をEHTで調べた成果も、総長賞を受賞した私の学位論文の観測結果も、VERAの観測の下地があったから、こういう面白いサイエンスケースがあるっていうアイデアをEHTのグループに提供することができて、それが論文の成果につながっているんです。
VERAが非常に役に立っているんだ。
そう。VERAとEHTは周波数も使う望遠鏡もちがいますけれど、相互に調べられるんです。例えばVERAは、ブラックホール20個分か30個分くらい下流のプラズマを見ることはできるんですけれど、EHTのようにブラックホール1個分くらいの間際のところを見るのは無理なんですよ。
なるほど、ブラックホールの下流をVERAで、上流をEHTで見るんですね。
そう。下流で何が起きているかが分かれば、上流に迫れます。だからVERAは必要ですよ。EHTの時代になってもすごく重要な望遠鏡になると思います。
VERAの重要性がよくわかりました。
秋山さんにとってVERAとは何でしょう?
ひとことで言うなら「礎」です。僕に電波天文学の基礎をたたきこんでくれたのが北大なら、干渉計やVLBIの基礎をたたきこんでくれたのがVERAなんです。VERAを通じて干渉計の観測データの見方や基礎を教わったおかげで、VLBIの深いところに手を出せて、EHTの中枢に入れたんだと思います。
いよいよ9月からはEHTの中枢であるマサチューセッツ工科大学へ行かれるわけですが、これからの抱負をお願いします!
まずはEHTでちゃんとブラックホールの写真が撮れるようにがんばりたいです!ただそれだけです。
素晴らしい知らせを楽しみに待っています!ありがとうございました!