日本での冬訓練と夏訓練

日本での冬訓練と夏訓練

マダム

出発するまで日本での準備期間ってどれくらいあったんですか?

寺家

一年間です。そのあいだに訓練があります。冬訓練は乗鞍でやりました。雪に穴を掘ってテントを設営してから、その中で一晩すごすビバーク訓練とか、ロープと方位磁石だけでルートをつくって行って帰ってくる訓練とか、いわゆる雪中行軍ですね。夏訓練は菅平でした。ロープを使ったラッシングの講習からはじまって、救助と救急救命の訓練などをやりました。

レスキューのシステムは万全

マダム

昭和基地から遠くへ出かけるときの安全管理はどうなっているんですか?

寺家

レスキュー隊が準備されていて救助方法が確立されています。雪上車が脱輪したとか、多少の事故は発生しますので、行って救助するシステムができています。

マダム

レスキューのシステムは万全なんですね。

寺家

はい。遠くへ出かけることはよくありますからね。GPSをかついで大陸沿岸へ行って、海氷の上にGPSを置いて、潮汐によって海氷が上り下がりするのを計測したり、地震計のメンテナンスをしたりとか、いろいろやりました。

南極で得たノウハウがいまVERAに

マダム

そうやって南極で一連のノウハウを得て帰国して、いまの運用に活かされているのですね。

寺家

そうですね。昭和基地で取ってきたデータを相関処理して、そこから測地解析ができるようにする、実際に遅延を計算して、そこからアンテナの位置を計測するシステムを作りました。それが私の博士論文です。そのいろんなシステムはVERAでいま使っていますね。

マダム

すごい!ということは、寺家さんのシステムがなかったらVERAはなかったのかも?

寺家

ほかの誰かが作ったかもしれませんけれども、少なくとも、私が作っているシステムが使えたので、測地観測がVERAでスムーズにできるようになったとは思います。

VERAの観測システムを説明中
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