VLBI観測装置


 VLBIは遠方の天体からやってくる電波を複数のアンテナで同時に受信して、電波の
到着時刻の差を精密に求める装置です。地球の回転運動や変形の研究、準星や星生成
領域、晩期型星における電波源の運動や物理状態の研究に利用されています。


短波長高精度VLBI用10mアンテナ

 水沢の直径10mのアンテナは、鏡面精度が0.34mmで、2GH及び8GHz(同時受信)、22
GHz、43GHzの各周波数帯で天体の電波を受信することができます。駆動系はディジタ
ル制御され、駆動速度は毎秒3度と高速なので、測地VLBIに重要な観測天体の高速切
り替えを行うことができます。


10m Antenna

        水沢観測センター構内直径10mパラボラアンテナ(右側)



VLBIバックエンド

 VLBIバックエンドは16チャンネルのビデオ周波数変換器、K-4型高速データレコー
ダ、周波数安定度が1000秒間で1兆分の1.2秒という安定な水素メーザ周波数標準から
成っています。


       VLBI Back-end

              K-4型VLBI観測記録機器


水素メーザ周波数標準

 水素メーザ周波数標準は、周波数の安定度が千秒間で1兆分の1.6秒という精密な標
準信号装置で、VLBIの基準信号発生に使われます。VLBI観測では、アンテナ局ごとに
受信信号と精密な基準信号を共に磁気テープに記録し、後に再生された基準信号をも
とに、受信信号の位相と振幅を再現します。


       H-Maser Clock

              水素メーザー周波数標準

アンテナ局ごとに精密な基準信号と共に磁気テープに記録された受信信号は相関局に
おいて再生され、基準信号を元に受信信号の位相と振幅を合成するためのデータ処理
が行なわれます。


      NAOCO

            簡易型相関処理装置(NAOCO)

国立天文台で開発された簡易型相関処理装置NAOCOは1チャンネルにおける超広帯域
処理や16チャンネルを用いた帯域2MHzの処理、2ビットサンプリング等の様々な
機能を持つ可搬型のVLBI相関処理装置です。