VERAプロジェクト期待の新人!

VERAプロジェクト期待の新人!

マダム

はじめに酒井さんの現在の立場と仕事内容について教えてください。

酒井

僕は国立天文台の特任研究員として、VERAプロジェクトの科学目標である天の川銀河の立体地図づくりを進めています。いわゆる「ポスドク」という立場ですね。2018年4月に配属されたばかりでプロジェクトの中では一番の新人です。学生の頃からずっとVERAで研究をしていたので、VERA歴は6年になります。

マダム

若いけどベテランの新人さんですね(笑)。VERAでどんな研究をしているのですか?

酒井

天の川銀河の中心部分に興味をもって研究をしています。研究者が「銀河系中心」と呼んでいる領域ですね。VERAを使って銀河系中心の天体までの距離を測ったり、運動を調べたりしています。

笑顔がまぶしい酒井さん
笑顔がまぶしい酒井さん
マダム

距離を測る、まさにVERAの王道の研究ですね。天の川銀河の中心には巨大ブラックホールがあると言われていますが、そこを研究しているんですか?

酒井

ブラックホールそのものというよりは、まわりのガスや塵がどういう風に流れているか、それらの運動が天の川銀河の渦巻き構造にどういう影響を与えているか、というところに興味を持って研究をしています。これはアメリカのVLAという電波望遠鏡で捉えた画像なんですが、銀河系中心のすごく狭い範囲を電波で見ると、こんなふうに見えます(写真1を参照)。

マダム

電波で見ると、すごく明るい!

酒井

真ん中の一番明るいところ、ここの中心に太陽の400万倍の質量を持つ巨大ブラックホールがあると言われていて、僕たち研究者は、いて座A*(いてざエースター)とか、Sgr A*(サジタリアスエースター)と呼んでいます。

マダム

あっ、以前インタビューした秋山和徳さん秦和弘さんたちが研究対象にしている天体ですね!

酒井

そうです。そのまわりにある天体が、たとえばSgr A*に対して手前にあるのか奥にあるのか、右に動いているのか左に動いているのか、並んで見えている天体がたまたま同じ方向に見えているだけなのか、実際にくっついているものなのか、この図を見ただけでは何もわからないですよね。そこで実際にひとつひとつを測って調べていくんです。

マダム

VERAの出番ですね!

記事公開日:2019年3月29日