VERAトップページへ  
ここから本文

成果報告その他の報告

研究ハイライト

成果報告

活動銀河核3C84の電波増光をキャッチ

VERAが、活動銀河核3C84の電波増光の様子を克明に捉えました。
活動銀河核は宇宙で最も活動的な天体のひとつです。活動銀河核の生み出すエネルギーの一部は、高いエネルギーを持つプラズマガスのジェット噴流として外に解放されると考えられています。

3C84は1960年頃から明るさの変動が知られており、このジェット噴流との関係が指摘されてきました。しかし、増光現象が起こる際に3C84のジェットのどこの部分が明るくなっているのか、はっきり示した研究はこれまでありませんでした。
その理由は、活動銀河核を細かい精度で観測できるVLBI装置の登場には1980年代まで待たねばならなかったこと、そして何より、突発的な増光現象をタイミング良くVLBI観測するのが難しいこと、が挙げられます。

2005年、3C84で再び増光現象が報告されました。その報告を受けて世界のいくつかのVLBI装置で3C84に向けた観測が行われましたが、VERAでは以前から較正天体として定期的に3C84を観測(モニタ観測)し続けていました。
そして過去のVERAの観測データ群より、増光現象が起こった直後の2006年5月から、3C84の中心から新しいジェットが時々刻々と現れる様子が示されました。
この成果は、活動銀河核の増光現象のごく初期段階を捉えた極めて珍しいものであり、3C84の増光現象とジェット噴射の活発化の関連を明らかにしたという点でも重要です。

また、電波での増光と同期するように、γ線でも増光が起こったことがフェルミγ線宇宙望遠鏡()の観測によって報告されていました。γ線とは非常にエネルギーの高い電磁波で、どのようにしてγ線が活動銀河核から放射されるのかは大きな謎の一つとされています。
VERAによって明らかになったジェット噴射の活発化は、γ線放射メカニズムを解き明かすうえでも重要な情報となりました。
VERAの観測は現在も続けられており、さらなる観測によって、γ線放射メカニズムの解明につながるのではないかと期待されます。

画像
3C84の電波写真。右側の画像群は、2006年から2009年までの中心部の変化を示しています。

(※フェルミγ線宇宙望遠鏡:アメリカのNASAによって2008年に宇宙に打ち上げられた望遠鏡で、アメリカ、日本、ヨーロッパなどの様々な国の協力によって運用されています。)


関連論文



ここからフッター