VERAトップページへ  
ここから本文

成果報告その他の報告

研究ハイライト

成果報告

半規則型変光星うしかい座RX星の距離を世界最高精度で決定

画像 鹿児島大学の亀崎達矢さんを中心とする鹿児島大および国立天文台のVERAのグループが行った観測により、半規則型変光星うしかい座RX星の距離を決定しました。
変光星とは、規則的な周期で明るさが変化する恒星です。うしかい座RX星は、その中でもふたつの異なる周期をもっている興味深い天体です。

2008年2月から2009年10月にかけて、うしかい座RX星のまわりの水メーザについてVERAによるモニタ観測を行ないました。
VERA望遠鏡の2ビーム・アンテナの特長を生かし、ターゲットの天体(RX星)と基準天体(クエーサーJ1419+2706)を同時に観測して、さまざまな補正を行なってデータを解析しました。 その結果、うしかい座RX星の年周視差は7.31±0.50mas、地球からの距離は136pc(=443光年)であることがわかりました。
これは、これまで測定されていたヒッパルコスの値と比べて、2倍も高い精度です。

うしかい座RX星の長い方の周期は、ミラ型変光星の周期−光度関係と一致しました。今回の観測から、宇宙における距離指標であるミラ型変光星の周期−光度関係についても、さらに高い精度で決定できると期待されます。
また、今回の観測結果によって、うしかい座RX星の半径(太陽半径の266倍)と質量(太陽質量の1.13倍)も、より精密に決定されました。

fig.1
図:うしかい座RX星の年周視差。
縦軸は東西方向の位置、横軸は時間、点が実際の観測データで、曲線は最適な年周視差の結果です。
地球が太陽のまわりを公転することにより、星の位置が1年周期で変動する「年周視差」が見えています。



関連論文



ここからフッター