研究ハイライト
成果報告
星形成領域 IRAS 05168+3634 の距離を精密に測定
総研大の坂井氏を中心とした研究グループと、国立天文台のVERAグループが行った観測により、星形成領域 IRAS 05168+3634 の距離を精密に測定することに成功しました。
三角視差を用いた今回の測定結果から、IRAS 05168+3634 の年周視差は 0.532±0.053 masであり、地球からの距離は約1.88kpc(=6130光年)と算出されました。
この結果は、これまで運動学から測定されていた距離(6kpc=19560光年)と比べて3分の1程度と小さいものです。
そして今回の結果を基に、IRAS 05168+3634 の物理パラメータや位置関係についても改訂を行いました。それにより IRAS 05168+3634 の位置は、銀河系の渦巻きの腕(スパイラルアーム)のひとつであるペルセウスアーム上にあることがわかりました。(図2)
ペルセウスアームの天体については、今回観測されたIRAS 05168+3634 も含めて、系統的に銀河回転からはずれた運動が得られています。今後、スパイラルアームの非円運動の研究にも、今回の観測が役に立つと期待されます。
(左)図1:IRAS 05168+3634 の画像。上は赤外線(NASA/IPAC)で、下が電波によるメーザー分布図。
(右)図2:銀河系における IRAS 05168+3634 の位置を示す。上方中央の青い点と考えられていたが、今回の観測でペルセウスアーム(Perseus arm)上の赤い円の位置に訂正された。
関連論文
- N. Sakai, 2012, PASJ, 64, no.6, in press, Outer Rotation Curve of the Galaxy with VERA I: Trigonometric parallax of IRAS 05168+3634