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成果報告その他の報告

研究ハイライト

成果報告

星形成領域 W75 水メーザーシェルの膨張運動を検出

画像 韓国の天文宇宙研究院(KASI)と日本のVERA関係者を含む国際チームは、星形成領域 W75 において水メーザーのシェルの膨張運動を検出しました。
W75 は太陽の10倍程度もある大質量星を形成している領域で、その水メーザーの観測は、大質量星形成の初期過程を調べるのに有効と思われています。

研究チームは2007年に W75 の水メーザーをVERAで観測し、水メーザースポットの分布を得ました。
更にその結果と、過去1999年と2005年に行われた水メーザーの分布を比較したところ、水メーザーが楕円状に膨張していくことが検出されました。
とくに、その楕円形状が、時間とともにより軸比が大きなものになっていることが今回の観測から示唆されました。(図2

これまでの若い大質量星からのアウトフローは、球状に近いものと、ジェットのように2方向に出る双極的なものの2種類あることが知られていました。しかし、その差が天体の質量などの性質による差なのか、それとも同じ天体でも時期(進化段階)によって差があるのかがわかっていませんでした。
今回の観測結果は、後者の説を支持する結果になっています。
今後、同様な観測を多数の天体で行うことで、この問題に答えられる可能性が出てきました。

fig.1
図1:水メーザースポットの位置と、測定された固有運動。
円印の大きさは水メーザーのエネルギーの強さ、色は放射の速度(赤いほど速い)を示す。

fig.2
図2:水メーザースポットに観測時期ごとの近時線(楕円)をつけたもの。
黄色が1999年、赤が2005年、黒が2007年の観測。



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