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研究ハイライト

成果報告

共生星 みずがめ座R の年周視差を世界最高精度で決定

画像
R Aquarii (出典)

総合研究大学院大学の Cheulhong MIN 氏を中心とした日韓の研究チームは、共生星みずがめ座R の年周視差を、5%以内という高精度で決定しました。

共生星みずがめ座R は、白色矮星と赤色巨星からなる連星で、長周期の変光星です。赤色巨星のガスが白色矮星に引き寄せられて降着円盤を形成し、ジェットが放出されています。
これまでに算出された地球からの距離は、270〜180pc と大きなバラツキがありました。

研究チームは 2005年9月から2006年10月にかけてのVERAによる観測から、みずがめ座R の年周視差が 4.59 ± 0.24 mas、地球からの距離は約 218 pc(=710光年)であることを、世界最高精度(5%以内)で算出しました。
この距離から、赤外線の周波数帯であるKバンドの絶対等級(本当の星の明るさ)も -7.71±0.11 等級と導き出されました。

また、変光星の周期と光度においては、周期が短い星は暗くて長い星は明るい、という関係性がわかっています。したがって、周期と光度のどちらかがわかれば、もう一方も算出できます。
今回はその両方がわかっていることから、関係式そのものを検証できるため、周期光度関係の精度向上に役立つことが期待されます。

fig.1
図1:観測した一酸化ケイ素(SiO)メーザースポットの位置変化。○印が測定値、実線は視差と固有運動。

fig.2
図2:星周ガスの一酸化ケイ素(SiO)メーザー分布。
左図はv=1、右図はv=2。※右図の方がエネルギーレベルが高い。
色がついた○印は観測されたメーザースポットで、青から紫になるほど遠ざかる速度が速い。(上の色帯を参照)
また、点線の円は半径15.90mas、点線の矢印はメーザースポットの固有運動、実線の矢印は中心星の運動を差し引いた動きを示す。



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