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成果報告その他の報告

研究ハイライト

成果報告

多波長共同研究でブレーザ型天体とみられる活動銀河核の謎に迫る

画像 早稲田大学の高橋氏を中心とした研究グループと、国立天文台のVERAグループは、フェルミ衛星でとらえられた2個のガンマ線未同定天体の多波長フォローアップ観測を行いました。
その結果、そのうち一つの 2FGL J1502.1+5548 からのX線および電波放射を検出し、ガンマ線・X線・電波にわたるスペクトルを得ることに成功しました。
そのスペクトルは、ブレーザー型のAGN天体で良くみられるものと一致し、赤方偏移zが3〜4程度の遠方のブレーザーである可能性が示唆されました。

ブレーザーは活動銀河核(AGN)の一種で、光速に近いジェットがほぼ地球に向いた角度で放射されており、強度の時間変化が激しいことも特徴です。
また、そのスペクトルエネルギー分布には、低エネルギーと高エネルギーのふたつのピークが現れることなどから、複数の波長を用いて観測することがその特定に効果的です。
研究グループは、宇宙論的遠方にあるブレーザーを探すために、ガンマ線宇宙望遠鏡のフェルミ衛星が見つけた未同定ガンマ線源の中でブレーザーのような変動を示す天体に着目し、これらのガンマ線源に対応する可能性のある2天体を、すざくX線天文衛星と VERA で観測しました。

そのうちひとつ、ガンマ線源:2FGL J1502.1+5548 とそれに対応すると考えられる電波源:NVSS J150229+555204 から、X線および電波が検出されました。(X線画像:図1電波画像:図2
そして、各波長の観測データから広帯域のスペクトルを得ることにも成功しました(図3)。
このスペクトルはブレーザーでみられる2つのピークを持つ形状からなっており、その解析から赤方偏移z=3〜4 の遠方のブレーザ型天体である可能性が高いと考えられます。

fig.1
図1:すざく衛星によるX線画像。
太い緑色の実線がガンマ線領域「2FGL J1502.1+5548」、
細い緑色の丸の中にある白い十字の位置が電波源「NVSS J150229+555204」を示す。

fig.2
図2:電波源「NVSS J150229+555204」のVLBIによる電波画像。

fig.3
図3:スペクトルエネルギー分布図。横軸は周波数。
赤・緑・青色の線は、それぞれ赤方偏移zを仮定したモデルを示す。



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