研究ハイライト
成果報告
KaVAが活動銀河核の詳細なイメージングに成功
山口大学の新沼浩太郎氏を中心とした研究チームは、日韓合同VLBI観測網KaVA(KVN and VERA Array)を用いて、活動銀河核の詳細なイメージング(電波撮像)に成功しました。
今回の観測対象は、おとめ座にあるクエーサー3C273や巨大な活動銀河M87などです。これらの天体は活動銀河核からジェットを放射する構造で知られています。
しかし、ジェットのガスは薄く広がっており電波もとても弱いので、観測には多くの望遠鏡と短い基線が必要になります。VERAは望遠鏡が4台でかつ基線が長いため、その姿を捉えるのは難しいのです。
一方、VERAとKVN(韓国VLBIネットワーク)が連携したKaVA(図2)は7台の望遠鏡があり、短い基線も増えるので、VERAのみの場合よりも更に高い感度で観測することが可能です。
そして今回、観測対象の天体が放出しているジェットのイメージングに成功しました。(図1)
これによって、KaVAがジェットを見るのに強力な装置であることが示されました。
今後、KaVAによるモニター観測などが、ジェット構造やその加速メカニズムの解明などに役立つことが期待されます。
図1:上段が3C 273、下段がM87のイメージング。観測周波数は23GHz。
左:VERAのみのイメージング。どちらの天体も中心核しか検出できない。
中央:KaVAによるイメージング。中心核からジェットが噴き出す様子も見える。
右:uv平面(基線の軌跡)を示し、点が多くて分布が均一なほど観測条件が良い。赤い点はVERAのみの場合で、黒い点を含めたKaVAの方が好条件となる。
図2:KaVAのネットワーク
●はVERAのアンテナ、●はKVNのアンテナを示す。
関連論文
- K. NIINUMA, 2014, PASJ, 66, in press, VLBI observations of bright AGN jets with the KVN and VERA Array (KaVA): Evaluation of imaging capability