【開発中】GALA

木星探査の目的

木星は大きさにして地球の11倍、重さにして320倍の巨大なガス天体です。その周りにはガリレオ・ガリレイが発見した4つの衛星が回っています。それぞれの衛星は水星に匹敵する大きさで、そのうちのエウロパ、ガニメデ、カリストと名付けられた衛星は、その表面が氷で覆われた氷天体です。今、氷天体が惑星科学者の注目を集めています。というのは、表面の厚い氷地殻の下には、広大な海が存在する可能性が高いからです。氷天体の地下海には太陽光は届きません。しかし、海底での熱水活動が、地球生命体を構成しているリンやイオウなどの元素を供給するとともに、生命活動を維持するためのエネルギー源とな ります。氷天体の地下には人類がまったく目にしたことがない、新しい生命圏が広がっているかもしれません。

ジュース計画

JUICE (JUpiter ICy moons Explorer) ヨーロッパ宇宙機関が主導して、日本やアメリカとの国際共同で進めている惑星探査計画です(図1)。2022年に打ち上げられて、2030年に木星に到着し、木星の大気・磁気圏と氷衛星を調査します。広大な宇宙に惑星が誕生し、生命が出現する条件とは何か?無数の恒星のまわりで、他の太陽系はどのように成長してしくのか?という壮大な疑問に挑戦します。そのために、JUICEでは様々な角度から木星と氷天体の謎に切り込んでいきます。

  1. 木星大気の運動と循環を観察し、大気の成分と化学特性を測定する
  2. 高速自転する木星磁気圏が超巨大な粒子加速器として機能するダイナミクスを観測する
  3. ガニメデ衛星の地下海と氷地殻の特徴を明らかにし、生命存在可能領域である氷天体を理解する
  4. 氷天体の表面地形を観察して過去と現在の地質活動を調べ、木星磁気圏と氷天体の相互作用を解明する

図1

図1 クレジット ESA/Airbus/GALA Team

ガニメデレーザ高度計

レーザ高度計は距離を測定する機器です。探査機搭載の高度計から送信されたレーザパルスが天体表面で反射され、再び探査機に帰ってくるまでの往復時間を測定することにより、探査機と天体表面までの距離を求めることができます。天体の重心を原点とする衛星の位置が、ドップラ電波計測により求まれば、天体の重心から表面までの距離が求められます。

レーザ高度計によって得られる基本データは、(a)定量的な表面地形情報と、(b)表面の粗さと反射率です。一方、衛星ガニメデは木星の強い重力で潮汐変形を起こしています。地球の海に満潮と干潮が起きるように、ガニメデの形状はタマゴ型に伸び縮みをしているのです。ガニメデの全表面を何度も観測することによって、木星の周囲をまわりながら地形がわずかに変化する様子をとらえることができるようになります。これにより(c)潮汐変形のデータが得られます。ガニメデの内部に地下海が存在すれば数m以上の大きな潮汐変形が起きるでしょうし、もし全く地下海が存在せず、内部が完全に固体の氷になっていれ ば、1 m以下のわずかな潮汐変形しか起きないでしょう。このようにレーザ高度計で、目で見ることができないガニメデ内部の状態を知ることが出来ます。

ガニメデレーザ高度計はドイツ、日本、スイス、スペインの四ヵ国の研究者が共同で開発しています。

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