研究の概要 「大質量星もガス円盤から誕生?~大質量星を回る高温水蒸気のガス円盤を発見」

電波源Iの想像図

電波源Iの想像図

国立天文台の廣田朋也助教が率いる研究チームは、アルマ望遠鏡とVERA(ベラ)望遠鏡などによる観測から、誕生後間もない大質量星周辺に高温水蒸気ガスの回転円盤を発見しました。これまで、大質量星がどのように誕生するかは論争が続いていましたが、今回の研究によって、大質量星も太陽のような中小質量星と同様、回転ガス円盤を通して物質が集まることで誕生するということがわかりました。

研究チームが観測したのはオリオンKL電波源I(アイ)です。この天体は、オリオン大星雲にある生まれたての大質量星の一つです。アルマ望遠鏡を用いた観測から、電波源Iの周辺にある摂氏約3000度の高温水蒸気ガスからの電波を高解像度で撮像することに成功しました。研究チームは過去に行われたVERA望遠鏡などによる観測と合わせることで、この高温の水蒸気を含むガスが電波源Iを回る回転円盤であることを確認しました。回転円盤は太陽系と同じくらいの大きさで、直径は地球と太陽の距離の約80倍と見積もられます。アルマ望遠鏡の高い解像度によって、今回初めて電波源Iの正体がガス円盤であることがわかりました。研究チームは、今後さらに性能が高くなるアルマ望遠鏡での観測を行い、電波源Iのより詳しい性質や進化の謎に迫りたいと期待しています。

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