研究ハイライト
成果報告
6.7GHz帯メタノールメーザーの試験観測 ‐2
現在、VERAでは6.7GHz帯におけるメタノールメーザーのVLBI観測を試験的に行っています。
このメーザーは未だに謎が多く、発生場所や強度変動の要因などがはっきりしていません。
今回の観測により、これらの謎の解明の手掛かりを得ることができました。
今回は、VERA水沢・石垣・入来局に、山口大学32mとJAXA/ISASの臼田64m鏡を加えた計5局で、大質量星形成領域Cepheus Aにおける6.7GHzメタノールメーザーのVLBI観測を行いました。
今回の観測で、Cepheus Aのメタノールメーザーは、全体的に円弧状の分布をしており、この領域に存在する電波 ジェットとほぼ垂直な関係にあることがわかりました。
また、Cepheus Aのメタノールメーザーは、山口大学32mを用いた毎日の単一鏡観測により、5つのスペクトル成分が1ヶ月以内という短期の内に、同期して強度変動することが明らかになっています。
それら5つの成分は、今回の観測で得られた空間分布上で、それぞれスポット群を形成しており、それぞれが100天文単位以上離れて存在していました。
これらのことから、Cepheus Aのメタノールメーザーは、大質量星周囲のガス円盤に付随しており、粒子同士の衝突ではなく、星からの放射によって暖められたダストが放つ赤外線によって励起されていることが考えられました。
関連論文
- Sugiyama K., 2008, PASJ, 60, 1001, A Synchronized Variation of the 6.7GHz Methanol Maser in Cepheus A [英語](PDF:312KB)