研究ハイライト
成果報告
GENJIプログラム始動!
GENJI(Gamma-ray Emitting Notable AGN Monitoring by Japanese VLBI)プログラムとは、ガンマ線を出す明るい活動銀河中心核(AGN:ブラックホール)をVERAを用いて定期的に観測する計画で、2010年11月にスタートしました。
このプログラムは、AGNから放射されたガンマ線と、新しい電波成分やジェットの動きの時間変化の関係を調べることで、AGNからのガンマ線放射メカニズムを明らかにすることを目標にしています。
現在、DA55, 3C84, M87, PKS1510-089, DA406, NRAO530, BL Lac, 3C454.3(左上の天体写真) の8天体をモニターしています(図1)。
GENJIプログラムは、従来行われてきたAGNのモニター観測と比べて、電波の短い時間変動(3週間ほどのスケール)を捉えるのに役立つと期待されます。
実際、これまでに、NRAO530 と 3C454.3 の2天体において、電波強度の変動をキャッチすることに成功しました。
3C454.3 は最も明るい銀河系外電波源のうちの1つで、2010年11月に最大のガンマ線フレアが発生しました。
GENJIプログラムによる観測がスタートしたのは、ちょうどこのフレアが生じる直前でした。
そのため、3C454.3 の電波放射が2010年12月に増加し始め、2011年2月ごろピークに達した様子を捉えることができました。(図2) 。
今後もこれらの8天体で複数のガンマ線フレアと、それに伴う電波変動を調べることで、ガンマ線放射機構の詳細が明らかになると期待されます。

図1:モニター対象である8天体の電波写真。
(a) DA55, (b) 3C84, (c) M87, (d) PKS1510-089, (e) DA406, (f) NRAO530, (g) BL Lac, (h) 3C454.3

図2:3C454.3 の最初の6カ月のプロット。縦軸は電波フラックス密度、横軸が時間。
ガンマ線フレアが発生した2010年11月から電波が増加していき、2011年2月ごろピークに達した後、減少している。
関連論文
- H. Nagai, 2013, PASJ, 65, 24, The GENJI Programme: Gamma-Ray Emitting Notable AGN Monitoring by Japanese VLBI