すごい。VERAに夢中!で「アテルイ」にお目にかかれるとは感激です!
喜んでいただけて何よりです。こちらは米国クレイ社のXC30といって、天文学専用のスパコンとしては世界最速の演算性能を持っています。スパコンに関しては三鷹のCfCAが対応していますが、設備的な面とネットワーク関係は私どもで対応しています。
石川さんは1973年に当時の文部省緯度観測所(現:水沢観測所)に入所されて以来、ずっと水沢の計算機システムを支えていらっしゃるとお聞きしました。
そうですね、かれこれ40年以上担当させていただいています。そのおかげで水沢に居ながらにして、コンピュータの進展の歴史を実際に体験できたんですよね。非常に運が良かったですし、貴重な体験だったと思います。
緯度観測所の時代から常に最先端のものを導入していますものね。
当時の国策として、これからはコンピュータの時代だということで、電気メーカー各社に補助金を出してコンピュータ開発をさせた訳ですよね。富士通、日立、東芝、日本電気、あと期間は短いですが、三菱。国産では5社です。もちろん外資のIBMも日本IBMとして参入していましたし。
はい。
こちらの表(水沢観測所における大型電子計算機の遷移)を見ていただけるとわかるとおり、水沢では国産のすべてのメーカーのコンピュータを入れましたので、私は国内5社すべてに関わる事ができたんです。
水沢観測所における大型電子計算機の遷移
1967年~ 東芝 TOSBAC 3400 Model 30
1972年~ 東芝 TOSBAC 3400 Model 31
1974年~ 東芝 TOSBAC 3400 Model 51
1978年~ 日電東芝 TOSBAC ACOS 600
1981年~ 三菱 MELCOM COSMO 900II
1985年~ 日立 HITACM-280D
1990年~ 日立 HITACM-680H
1996年~ 日立 HITACSR-2201
2000年~ IBM RS6000/SP
2006年~ IBM ps-570
2008年~ SGI Aitix450
2013年~ 富士通 PRIMEQUEST 1800E2
2013年~ Cray XC30「アテルイ」(CfCAにより運用)
すごい。国産メーカー全制覇ですね(笑)。
IBMとシリコングラフィックス(SGI)も入りました。まさか水沢でスパコンはないだろうなあと思っていたら…そのまさかで。
なんとスパコンがやってきました。しかもクレイ製!
そうなんですよ。クレイと言えばスパコンのフロンティアのメーカーですからね。間接的ですが携わることができて、自分はコンピュータと縁があるなあと感じています。
記事公開日:2015年12月22日
1973年に文部省緯度観測所に研究補助員として入所し、以来40年以上にわたって水沢観測所の計算機システム、ネットワークシステム等の運用・管理を担当しています。最近では天文学専用として世界最速のスーパーコンピュータ「アテルイ」の導入に関わり、高速ネットワーク回線の利用にも携わっています。趣味は音楽。特に洋楽が好きですが、時々謡曲も謡います。
アテルイは1Pflops(1P=1ペタ=10の15乗)の演算性能を持つ。flops(フロップス:Floating-point Operations Per Second)はコンピュータの性能指標のひとつ。1秒間に浮動小数点演算を何回できるかという能力。1Pflops(1ペタ=10の15乗flops)であれば1秒間に1000兆回の計算をすることができる。現時点で天文学専用のスパコンとしては世界最速の演算性能を有す。
アテルイは情報通信研究機構(NICT)が運用する10Gbpsの高速ネットワーク(JGN-X)によって東京の国立天文台ネットワークに接続されている。
国立天文台天文シミュレーションプロジェクト(CfCA=Center for Computational Astrophysics)