第2回目の意中の人は
川口則幸さん

誰もやってないからやる!

川口

誰もやってないからやる!それが私のこだわりです。

観測屋だって同じだよね。誰も見たことのない天体現象を発見したり、誰も見たことのないものを見ましょうってね。技術屋のこだわりだって同じですよ。

マダム

世界で誰も作っていないものを作り続けてご苦労もあったと思いますが、ひとつひとつ作ってきて幸せな思い、たくさんされてますよね。

川口

幸せだね。とくに「ファースト」の時。ファーストフリンジとか、ファースト何々とか、世界で初めてとか日本で最初のとか、全て感動。

太平洋プレートの運動だってさ、局位置が本当に1年で7cm動いたんだよ!本当に地面は動いてるんだよ!それを実感できたおもしろさったらないよ。

VERAだって星の位置の変化を出すでしょう。恒星はフィックス(固定)ではないんですよ。本当に動いている。データで目に見えるんだからね。それを見ている感動といったらない。

マダム

その感動は研究者の醍醐味でしょうね。

後輩たちへのメッセージ

マダム

VERAを卒業するにあたって、後輩にメッセージをお願いします。

川口

VERAの後輩たちには、世界のトップを目指して欲しいね。二番煎じではなく、誰もやってない、おもしろいことをやろうよ。オリジナルな望遠鏡を作って、オリジナルな成果を出していって欲しいね。

マダム

VERAプロジェクトには「おもしろいことをやろう!」というムードがみなぎっていますが、川口さんのビジョンでもあったのですね。ますますVERAに夢中になりました♡

川口さんにとってVERAとは何でしょうか?

川口

僕にとってはVERAもone of many。次にやりたいことは沢山あるし、VERA以外でもどんどんやりたいことはあるからね。

マダム

VERAも研究人生の中のひとつの形なのですね。

3月末で天文台を退官されて、4月からは中国の上海天文台に行かれるそうですね。複数の国から熱烈なオファーがあったようですが、今後の抱負をお聞かせください。

川口

中国が電波天文衛星を打ちあげるので協力しようと思ってます。私なりに貢献ができてデータをとったら韓国で相関処理をやって、いい結果を出して...やりたいことはたくさんあります。

マダム

新天地でのますますのご活躍をお祈り申し上げます。川口則幸さん、どうもありがとうございました。

  手塩に掛けた相関器と「どや顔」です
手塩に掛けた相関器と「どや顔」です
川口 則幸
氏名
川口 則幸 かわぐち のりゆき
出身地
岐阜県生まれ
紹介

1977年から37年間、ひたすらVLBIに関連する研究を進めてきました。
観測装置の開発が主で、他の電波天文観測システムにはないVLBIに特有の装置、水素メーザ原子時計や磁気記録装置、相関処理装置の開発を行ってきました。
観測成果では、太平洋プレート運動の検出や世界で初めてのスペースVLBI観測の成功、VERA計画での年周視差計測の成功などが挙げられます。