TSU(Time Synchronous Unit)とは何かを説明をするために、アンテナを動かすシステムについてお話しましょう。
お願いします!
20mアンテナは、ソフトウエアが連動して様々な計算機が動き、アンテナのモーターを動かしています。20mアンテナを動かす軸は、(1)方位角(AZ: Azimuth)、(2)仰角(EL: Elevation)、(3)視野回転角(FR: Field Rotation)、(4)2ビーム機構(2B: 2Beam) の4つに分けられます。それぞれ、アンテナのお皿を(1)縦に動かす、同じく(2)横に動かす、(3)受信機を回転、(4)受信機を三次元的に動かす、という仕組みです。
(1)~(4)を動かすため、メーカー製の制御装置(CU:コントロールユニット)が3つあります。「ACU」は(1)方位角と(2)仰角を、「FRCU」は(3)視野回転角を、「2BCU」は(4)2ビーム機構の制御装置です。要はモーターを動かすための装置で、システム全体における一番末端の装置になります。
なるほど。3つの制御装置によってアンテナが動くのですね。
ですが、これだけでは、ある指定した角度へ向けることはできても、連続して天体を追いかける動きはできません。そこで「TSU」を介して、あらかじめ計算した0.1秒ごとの角度情報を、3つの装置に連続的に送ります。「この角度に行きなさい、次はこの角度に行きなさい」という命令を常に送り続けることによって、連動してなめらかにアンテナを動かし、天体を追いかけることができるんです。
TSUが親玉なんですね。バラバラに動く3人の子どもに「並んで歩きなさい」と言ってきかせるお母さんみたい♡
そんなイメージですね。このほかに、タイミングに従って正確に動かす信号を入れる必要があります。「いつ動きなさい」という命令をTSUが出してあげると、ACU・FRCU・2BCUが「わかりました」とその時刻に動く。この時刻の元になっているのが、水素メーザー原子時計です。
なるほど~! このような仕組みでアンテナを動かしていたのですね。TSUが非常に重要な装置だということがわかりました。なんとしてでも開発を成功させなくては!
観測装置の安定運用と長期的性能維持を目標とするVERA保守部門所属。前職では民間企業で人工衛星地上試験設備改修等を担当。2016年に国立天文台へ転職し技術員となる。子どもの頃から天文好き。いまも自宅にある望遠鏡Vixen VIPERで天体を観測したり、観望会ボランティアで星座の解説をすることも。多趣味だが卓球と合唱を長く続けている。
Antenna Control Unit
Field Rotator Control Unit
2 Beam Control Unit
Time Synchronous Unit