森山のページ

ブラックホールへの降着流の空間的な変動からブラックホール時空の測定する方法を理論的に研究している。EHT観測と自身の理論的枠組みから、大質量ブラックホールのスピンを測定することを目指す。

本間のページ

専門はVLBI手法を用いた超高分解能電波天文学・銀河天文学。国立天文台水沢VLBI観測所のVERAを用いて銀河系の三次元構造の研究を進めつつ、EHTプロジェクトでは日本チームの代表も務めている。EHTの装置開発面ではALMA Phase-upのハードウェア開発に貢献し、またEHTの画像解析ではスパースモデリングの導入を推進した。

田崎のページ

活動銀河核の観測的研究が専門。ジェットを持つ活動銀河核の降着流とジェット・さらにその周辺構造の統一的理解を目指す。EHTデータから画像を復元するグループのメンバー。EHTの広報活動を取りまとめる役割も担う。

GMVA で Sgr A* を観測した結果が発表されました

本プロジェクトの秦和弘氏、秋山和徳氏らが参加する研究グループが、GMVA で Sgr A* を観測した結果を発表しました。

GMVA は EHT と同様に地球規模で電波望遠鏡を配置した VLBI ですが、EHT よりも少し長い 3 mm 波長帯で観測します。オランダ、ラドバウド大学の博士課程に在籍する Sara Issaoun 氏を中心とした研究グループは、初めて ALMA を組み込んだ GMVA で Sgr A* を観測しました。その結果、Sgr A* の周りの電波放射領域が、これまで考えられていたよりも小さいことが明らかになりました。成果の詳細は下記のリンク (英語のページ) をご覧ください。

(画像クレジット:S. Issaoun, Radboud University / D. Pesca, CfA)

EHTによるブラックホールの撮像観測スタート!

2017年4月5日(日本時間)に、いよいよEHTによるブラックホールの撮像観測がスタートしました。

観測には、チリのALMAに加え、ハワイのJCMT、SMA、アリゾナのSMT、メキシコのLMT、チリのAPEX、スペインのIRAM、南極のSPTが参加し、観測波長は1.3mmで、最大基線長は10000キロを超えます。これだけの数の望遠鏡が参加して行うEHTの観測は初めてのことで、ブラックホールを「黒い穴」として捉えることが可能なデータがいよいよ得られると期待されます。

初日の観測はすべての局で大きなトラブルなく終了することができ、良質なデータがとれている模様です。また今後も4月15日までの期間に最大で計5晩の観測が行われる予定です。観測後は各局からデータを持ち寄って相関処理を行い、そこから各種の較正作業を経て、ブラックホールの電波写真を撮るイメージング作業へと移行する予定です。

写真:今回の観測に参加したハワイのJCMT望遠鏡

参考:地球サイズの望遠鏡でブラックホール撮影に挑む【2】巨大望遠鏡プロジェクト:EHTとGMVA(アルマ望遠鏡 特集)

本プロジェクトの研究者の秦和弘が、2016年度日本天文学会 研究奨励賞を受賞しました。

本プロジェクトの研究者の秦和弘(国立天文台 水沢VLBI観測所・助教)が、2016年度日本天文学会 研究奨励賞を受賞しました。

研究の表題:「高分解能 VLBI による巨大ブラックホールジェット生成・収束・加速領域の観測的研究」

公益社団法人 日本天文学会
2016年度 研究奨励賞
>「天文台マダム VERAに夢中」より秦和弘さんのインタビュー(2016.12.28掲載)

電波干渉計で画像を得るための新たな手法を提唱

観測データの一つである『位相』という量の誤差 (真の位相とのズレ) が大きいと、どんなに優れた画像復元手法を使ってもブラックホールシャドウを見ることができません。観測位相からは『クロージャー位相』というより誤差の少ない量を計算することができるのですが、この時に多くの位相情報を失うため、クロージャー位相を使っても画像の復元は困難です。

そこで我々は疎性モデリングの手法を応用して、クロージャー位相から誤差の小さい位相を取得する手法の検討を行いました。詳しいシミュレーションの結果、この手法を用いて誤差を取り除いたデータから、ブラックホールシャドウを復元できることがわかりました。我々はこの手法を PRECL と名付け、これがブラックホール撮像への大きなステップとなることを期待しています。

論文:
Ikeda, Tazaki, Akiyama, Hada, & Honma, PASJ, 2016, 68, 45
"PRECL: A new method for interferometry imaging from closure phase"

 

天の川銀河中心に潜む超巨大ブラックホール周囲の磁場構造を解明

研究の概要

国立天文台水沢VLBI観測所の秋山和徳博士(日本学術振興会海外特別研究員、米国マサチューセッツ工科大学ヘイスタック天文台所属)と本間希樹教授を含む国際研究チームは、米国カリフォルニア州、アリゾナ州、ハワイ州にある電波望遠鏡を結合させて、天の川銀河の中心にある巨大ブラックホールいて座Aスター(Sgr A*)の極近傍領域に付随する磁場の証拠を初めて観測的に捉えました。観測からブラックホール半径の6倍程度の領域において、絡まったスパゲッティ状の複雑な磁場構造が示唆され、また、それが時間変動していることも初めてとらえられました。今回の発見は、超巨大ブラックホールの周囲で起こる質量降着やジェット生成等の活動現象の駆動原因とされる磁場の理解にとって非常に大きな成果であり、今後ブラックホールそのものを直接撮像するEvent Horizon Telescope計画にとっても重要な一歩となりました。

 

この成果は、平成27年12月3日(米国時間)に米国の科学雑誌Science誌に掲載されました。

天の川銀河中心に潜む超巨大ブラックホール周囲の磁場構造を解明

国立天文台水沢VLBI観測所の秋山和徳博士(日本学術振興会海外特別研究員、米国マサチューセッツ工科大学ヘイスタック天文台所属)と本間希樹教授を含む国際研究チームは、米国カリフォルニア州、アリゾナ州、ハワイ州にある電波望遠鏡を結合させて、天の川銀河の中心にある巨大ブラックホールいて座Aスター(Sgr A*)の極近傍領域に付随する磁場の証拠を初めて観測的に捉えました。
詳しい内容は、ウェブリリース「天の川銀河中心に潜む超巨大ブラックホール周囲の磁場構造を解明」をご覧ください。