EHT イメージングワークショップ開催報告
EHT のイメージングワークショップ (第1回) が2017年10月にハーバード大にて開催され、その様子が国立天文台ニュースで紹介されました。
参考:国立天文台ニュースのページ (2017年12月号をご覧ください。)
EHT のイメージングワークショップ (第1回) が2017年10月にハーバード大にて開催され、その様子が国立天文台ニュースで紹介されました。
参考:国立天文台ニュースのページ (2017年12月号をご覧ください。)
2017年4月5日(日本時間)に、いよいよEHTによるブラックホールの撮像観測がスタートしました。
観測には、チリのALMAに加え、ハワイのJCMT、SMA、アリゾナのSMT、メキシコのLMT、チリのAPEX、スペインのIRAM、南極のSPTが参加し、観測波長は1.3mmで、最大基線長は10000キロを超えます。これだけの数の望遠鏡が参加して行うEHTの観測は初めてのことで、ブラックホールを「黒い穴」として捉えることが可能なデータがいよいよ得られると期待されます。
初日の観測はすべての局で大きなトラブルなく終了することができ、良質なデータがとれている模様です。また今後も4月15日までの期間に最大で計5晩の観測が行われる予定です。観測後は各局からデータを持ち寄って相関処理を行い、そこから各種の較正作業を経て、ブラックホールの電波写真を撮るイメージング作業へと移行する予定です。
写真:今回の観測に参加したハワイのJCMT望遠鏡
参考:地球サイズの望遠鏡でブラックホール撮影に挑む【2】巨大望遠鏡プロジェクト:EHTとGMVA(アルマ望遠鏡 特集)
本プロジェクトの研究者の秦和弘(国立天文台 水沢VLBI観測所・助教)が、2016年度日本天文学会 研究奨励賞を受賞しました。
研究の表題:「高分解能 VLBI による巨大ブラックホールジェット生成・収束・加速領域の観測的研究」
>公益社団法人 日本天文学会
>2016年度 研究奨励賞
>「天文台マダム VERAに夢中」より秦和弘さんのインタビュー(2016.12.28掲載)
観測データの一つである『位相』という量の誤差 (真の位相とのズレ) が大きいと、どんなに優れた画像復元手法を使ってもブラックホールシャドウを見ることができません。観測位相からは『クロージャー位相』というより誤差の少ない量を計算することができるのですが、この時に多くの位相情報を失うため、クロージャー位相を使っても画像の復元は困難です。
そこで我々は疎性モデリングの手法を応用して、クロージャー位相から誤差の小さい位相を取得する手法の検討を行いました。詳しいシミュレーションの結果、この手法を用いて誤差を取り除いたデータから、ブラックホールシャドウを復元できることがわかりました。我々はこの手法を PRECL と名付け、これがブラックホール撮像への大きなステップとなることを期待しています。
論文:
Ikeda, Tazaki, Akiyama, Hada, & Honma, PASJ, 2016, 68, 45
"PRECL: A new method for interferometry imaging from closure phase"
国立天文台水沢VLBI観測所の秋山和徳博士(日本学術振興会海外特別研究員、米国マサチューセッツ工科大学ヘイスタック天文台所属)と本間希樹教授を含む国際研究チームは、米国カリフォルニア州、アリゾナ州、ハワイ州にある電波望遠鏡を結合させて、天の川銀河の中心にある巨大ブラックホールいて座Aスター(Sgr A*)の極近傍領域に付随する磁場の証拠を初めて観測的に捉えました。観測からブラックホール半径の6倍程度の領域において、絡まったスパゲッティ状の複雑な磁場構造が示唆され、また、それが時間変動していることも初めてとらえられました。今回の発見は、超巨大ブラックホールの周囲で起こる質量降着やジェット生成等の活動現象の駆動原因とされる磁場の理解にとって非常に大きな成果であり、今後ブラックホールそのものを直接撮像するEvent Horizon Telescope計画にとっても重要な一歩となりました。
この成果は、平成27年12月3日(米国時間)に米国の科学雑誌Science誌に掲載されました。
国立天文台水沢VLBI観測所の秋山和徳博士(日本学術振興会海外特別研究員、米国マサチューセッツ工科大学ヘイスタック天文台所属)と本間希樹教授を含む国際研究チームは、米国カリフォルニア州、アリゾナ州、ハワイ州にある電波望遠鏡を結合させて、天の川銀河の中心にある巨大ブラックホールいて座Aスター(Sgr A*)の極近傍領域に付随する磁場の証拠を初めて観測的に捉えました。
詳しい内容は、ウェブリリース「天の川銀河中心に潜む超巨大ブラックホール周囲の磁場構造を解明」をご覧ください。
東京大学/国立天文台の秋山和徳氏を中心とする国際EHTチームは、おとめ座の銀河 M87 の中心核にある巨大ブラックホールを観測し、クロージャー位相の検出に初めて成功しました。
クロージャー位相は、干渉計で天体写真を取得する際に非常に重要な観測量で、今回のその初検出は、今後のブラックホール直接撮像に大きなはずみをつけるものです。
今回得られたクロージャー位相は、これまでに予言されている様々なブラックホールの予想図を区別するまでには至りませんでしたが、今回の結果から、今後ALMAの参加したVLBI観測が実現すれば、ブラックホールの真の姿に詳細に迫れることも示されました。
疎性モデリングを用いたブラックホール直接撮像の研究が、NHKサイエンスZERO にて紹介されました。
> 「情報科学の名探偵! 魔法の数式 スパースモデリング」 NHKサイエンスZERO 2015年8月23日放送
国立天文台野辺山で230GHz帯のミリ波VLBI実験に成功しました。
詳しくは以下のリンク先をご参照ください。
日本経済新聞 2015/5/3付 の科学面で我々の活動が紹介されました。
>日本経済新聞 2015/5/3付:『宇宙や津波、数学で迫る 少ないデータで「本質」解析』