ALMA Phasing Project の CDR審査会が開催されました。

ALMAの各アンテナの信号を合成してミリ波サブミリ波VLBIの観測局として使用する計画がALMA Phasing Project (APP)で、米国、欧州、日本、台湾、チリなどの研究機関が参加して国際協力で計画が進められています。

このAPPにおける重要なマイルストーンとして、開発する装置の詳しい設計検討を報告・議論するCritical Design Review(CDR)が2013年5月に開催されました。
CDRは5月22日、23日に米国のヴァージニア州の米国国立電波天文台の本部で行われ、13名のレビュー委員を含めて総勢50名程度の参加があり、APPの設計・開発状況や今後の進め方なのについて詳しい議論が行われています。CDRではいくつかの問題点が指摘されていますが、これらの問題に対する解決策を今後示すことを条件にCDRの審査結果はパスとなり、ALMA PhasingProjectはさらに次の段階へと進むことになりました。

ALMA Phasing Projectにおいては、日本チームはAOSからOSFへ大容量のデータを伝送する光伝送装置の設計・作成を分担しています。

超巨大ブラックホールから出るジェットの根元の大きさの測定に初めて成功

国立天文台水沢VLBI観測所の本間 希樹(ほんま まれき)准教授、小山 友明(おやま ともあき)専門研究職員を含む日米欧等の国際共同チームは、おとめ座の銀河M87の超巨大ブラックホールから出るジェットの根元の大きさの測定に初めて成功しました。測定の結果、ジェットの根元のサイズは予想されるブラックホール半径の5.5倍であることがわかりました。さらに、ジェットの根元の大きさは、回転しているブラックホールの場合に予想されるジェットの根元の大きさと一致していました。このことは、ジェットの形成・放出にブラックホールの回転が関わっている可能性を示しています。

詳しい内容は、ウェブリリース「電波干渉計が超巨大ブラックホールに肉薄」をご覧ください。

電波干渉計が超巨大ブラックホールに肉薄

~ブラックホールから出るジェットの根元をキャッチ~

 

研究の概要

 国立天文台水沢VLBI観測所の本間 希樹(ほんま まれき)准教授、小山 友明(おやま ともあき)専門研究職員を含む日米欧等の国際共同チームは、おとめ座の銀河M87の超巨大ブラックホールから出るジェットの根元の大きさの測定に初めて成功しました。測定の結果、ジェットの根元のサイズは予想されるブラックホール半径の5.5倍であることがわかりました。さらに、ジェットの根元の大きさは、回転しているブラックホールの場合に予想されるジェットの根元の大きさと一致していました。このことは、ジェットの形成・放出にブラックホールの回転が関わっている可能性を示しています。

人類史上最高の視力でみる超巨大ブラックホールからの噴出流

研究の概要

東京大学大学院生の秋山和徳氏、国立天文台の本間希樹准教授、マサチューセッツ工科大学のRu-sen Lu 研究員、Vincent L. Fish 研究員、Shepherd S. Doeleman 主任研究員らを中心とした国際研究チーム(EHT; Event Horizon Telescope) は地球から約53 億光年、約73 億光年彼方にある3C 279、NRAO 530 という2 つの活動銀河の中心にある超巨大ブラックホールから噴出するガスの根元の部分の構造を60 マイクロ秒角を切る人類史上最も良い解像度でとらえることに成功し、ガスの噴出する見かけの方向が根元の部分で大きく曲がっていることを明らかにしました。

クエーサー 1924-292 のジェットの撮像に成功

クエーサー 1924-292 のジェットを波長 1.3 mm で EHT で観測し、ジェットの根元を撮像することに成功しました。その結果、これまで長い波長で観測されたジェットに比べて、ジェットの根元が大きく曲がっていることが明らかになりました。

この結果は、Lu et al. (2012) として米国のアストロフィジカルジャーナルに掲載されました。