M87巨大ブラックホールを取り巻く降着円盤とジェットの同時撮影に初めて成功
EHT-Japanメンバーも多数参加する国際研究チームは、楕円銀河M87の中心部を詳しく観測し、巨大ブラックホールを取り巻く降着円盤とジェットの同時撮影に初めて成功しました。観測に用いた望遠鏡は、波長3.5mm帯で稼働するグローバルミリ波VLBI観測網と呼ばれる地球規模の電波望遠鏡ネットワークです。
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EHT Japan プレスリリース
国立天文台 プレスリリース
M87巨大ブラックホールを取り巻く降着円盤とジェットの同時撮影に初めて成功
[図1] 波長3.5mm帯の国際電波望遠鏡ネットワークによって得られたM87中心部の電波画像。2018年4月14日から15日にかけて、グローバルミリ波VLBI観測網(GMVA)にアルマ望遠鏡とグリーンランド望遠鏡が新たに参加して観測が行われました。中心部のリング状構造が巨大ブラックホールを取り巻く降着円盤で、そこにつながるジェットの様子も捉えられています。(画像クレジット:Lu et al. 2023; composition by F. Tazaki)
最高視力で解き明かすクエーサーから噴き出すジェットの姿
クエーサー「3C 273」から噴き出すジェットの最深部が、地球規模の電波望遠鏡の観測網によって捉えられ、ジェットの絞り込みの様子が初めて明らかになりました。これは宇宙ジェットの生成メカニズムを理解する上で重要な成果です。
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最高視力で解き明かすクエーサーから噴き出すジェットの姿
概要
国際研究チームは、地球上に点在する電波望遠鏡を組み合わせて同時に観測を行う超長基線電波干渉技術(VLBI)を用いて、極めて明るい電波源「3C 273」から噴き出すジェットの最深部の構造を捉えることに成功しました。3C 273は歴史上初めて発見されたクエーサーであり、その中心部から噴き出すジェットは過去数十年に渡って精力的に研究されています。今回研究チームはこの3C 273に対して様々な周波数帯で国際的なVLBI観測を実施し、これまで詳しく観測されていなかった最深部から、母銀河を越える先端部に至るまでの様々な空間スケールに渡ってジェットの「形状」を詳しく調べました。その結果、クエーサーのジェットが絞り込まれている様子が初めて捉えられ、その絞り込みがブラックホールの重力が支配する領域を超えるほど遠方にまで及んでいることを発見しました。これは中心部の活動性が高いクエーサーにおけるジェットの絞り込みの様子を明確に示した初めての成果です。
天の川銀河中心のブラックホールの撮影に初めて成功
国際研究チーム「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)・コラボレーション」は、地球規模の電波望遠鏡ネットワークを使って、私たちが住む天の川銀河の中心にある巨大ブラックホールの撮影に初めて成功しました。今回の結果は、この天体が間違いなくブラックホールであることを示す揺るぎない証拠であり、多くの銀河の中心に存在すると考えられている巨大ブラックホールの働きについて貴重な手がかりを与えるものです。
[図1] 史上初の天の川銀河中心のブラックホールの画像。(クレジット:EHT Collaboration)