日韓合同電波望遠鏡群で探る巨大ブラックホールジェット 〜見えてきた「超光速噴出流」の現場〜

本研究のインパクトと今後の展望


今回の観測によって、これまで考えられていたよりも10倍以上もブラックホールに近い位置で ジェット噴出流がすでに光速の80%を超える速度にまで加速されていることが初めて明らかになりました。ジェット噴出流の源流にあるブラックホール近傍のプラズマ状態(磁力線の構造や強度およびプラズマの濃度など)の変化にあわせて、ジェット噴出流の様子(流れの速さや明るさ)も変化すると考えられています。そこで、わたしたちは2016年春にはさらに本格的な日韓合同VLBIの2つの波長帯(13ミリと7ミリ)におけるM87高頻度モニタープロジェクトを始動し、さらにブラックホール近くの領域まで含めたジェット噴出流の時間変化の様子をかつてないほど克明に観測することを計画しています。

本研究成果は、「ブラックホールの直接撮像」という、もう1つの重要テーマとも大きく関連しています。ブラックホールの直接撮像に向けては、さらにALMAを含めた短い波長帯(1.3ミリ)におけるVLBI実験が現在世界中の天文学者の協力のもと進められており(通称サブミリ波VLBI、またはEvent Horizon Telescopeプロジェクト)、日本からも本研究チームを含め国立天文台が中心となって参加しています。今後は、サブミリ波VLBIによる「ブラックホール」の観測および日韓合同VLBIによる「ジェット噴出流」の観測と、最先端のコンピューター数値シミュレーションを詳細に比較することによって、長年の謎であるブラックホールジェット噴出流の形成機構の解明に挑みます。

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