ふれあい天文学 アビジャン補習授業校 2023年10月7日

私にとっての今年初めてのふれあい天文学はコートジボワールのアビジャン補習授業校でした。低学年と高学年の2部に分けてオンラインで実施しましたが、カメラに映っているのは2-3人で、しかも授業中はPC画面の隅に小さく表示されるだけなので教室の反応がわかりません。声だけが頼りです。

今年の授業は「宇宙生命探査」と「火星生命探査」にテーマを決めました。高学年向けには火星生命探査のスライドを準備しました。少し難しいかなと心配しましたが、実際には中高生の参加になったのでちょうど良いくらいになったと思います。低学年向けの授業内容は悩みました。記憶にある限り低学年のみを対象とする授業は初めてで、迷った挙句に、「地球の生きものはどこにいるか?」から「太陽系天体(月,火星,金星 ...)に生きものはいるだろうか?」を考えてもらうことにしました。結果的には、用意したクイズに元気な声が返ってきて、ホッとしました(写真)。

東アジア 惑星科学・探査 夏の学校 2023 報告

2023年夏,待望の韓・中・日 夏の学校 (詳しくは https://www.facebook.com/notes/3366298483483454/) を復活させることができました!新型コロナの流行阻止のために世界中が鎖国状態になって4年間も空いてしまった間に日本、中国、韓国それぞれで惑星探査が進展し、惑星科学を学ぶ学生を取り巻く状況も大きく変化しました。大いなる期待と些かの不安を抱えながら、韓国済州島へ向けて出発です。期間は7月19-21日の3日間でした。

今回の講師はハワイ大学のPaul G. Lucey教授とカリフォルニア大学のDavid A. Paige教授という光~熱赤外分光観測の泰斗です。ところがっ!3日前になってLucey教授が健康不良により長時間の旅行を避けねばならないことになり、急遽キャンセル!!呆然とする世話人のために、韓国月探査ミッションの科学会議に参加して訪韓中だったPaige教授が、同じ科学会議参加者のChristian Wöhler教授(ドイツ ドルトムント工科大学)に代理を依頼してくれたのでした。おぉー冷えた冷えた。

JUICE-GALAチームミーティング(2023.03.01~03)に出席して

 2023年4月14日,南米仏領ギアナのクール―(Kourou)にあるギアナ宇宙センターからヨーロッパ宇宙機構(ESA: European Space Agency)主導で開発された木星衛星系探査機(JUICE)が無事打上げられました[1]. JUICE搭載機器の1つにレーザ高度計があります(GALA: GAnymede Laser Altimeter;[2],写真1).いわゆるレーザ測距計のことでレーザパルスを発射して目標点までの往復時間を計り距離を測定する装置です.天体を周回する探査機に搭載されたレーザ高度計は,天体の重心に対するレーザ高度計の位置とレーザの発射方向がわかっていればレーザが照射する天体上の位置を決めることができ,これを繰り返すことで天体の地形や形状を精度よく決定できます.打上げ11年後の2034年に予定されているJUICE-GALAのガニメデ周回観測では,ガニメデの形状が木星の巨大な潮汐作用で歪んでいるだけでなく,それが時間変化する様子まで詳しくわかるはずです.さらに最近では氷天体の内部に液体の層(内部海)があると考えられており,GALAの観測データからガニメデ内部海の深さや規模を推定し,氷天体の内部海の存在を世界で初めて明らかにすることが期待されています.