ベルリンで学ぶ惑星科学

我らがサムライブルーの快進撃から早くも1ヶ月以上が経ち、日本の皆さんはいかがお過ごしでしょうか?手に汗握る展開続きで寝不足だった日々が、少し懐かしくなってきている頃でしょうか?

 

そんな日本代表が初戦で撃破したサッカー大国にあるドイツ航空宇宙センター (略称DLR) において、私は現在1年間の研究滞在の最中です。この記事ではドイツ滞在記として、これまでのドイツ・ベルリン生活の一部をご紹介しようと思います。

 

DLR

(DLRは欧州の惑星探査の中心の一つであり、研究所内にはこれまで関与してきた探査機等の展示があります。右で青くライトアップされているのは皆さんお馴染みの「はやぶさ2」とその小型着陸機MASCOTです。)

 

フランスからやって来た真夏の使者

関東が熱波に襲われた6月27日,フランスのパリ大学の学生,Alexandre de Larminat君がインターンシップの目的でRISE月惑星探査プロジェクトにやってきました.仙川のホテルへ迎えに行って,汗だくになりながら三鷹キャンパスへ連れてきました.

Alexandre君は,パリ大学で地球物理学と日本語という珍しい組み合わせを同時に専攻しており,ちょうど3年生が終わったところです.インターンと言っても職業体験ではなく,2ヶ月間でギュッと詰まった研究をしてもらう予定でした.テーマは小惑星リュウグウのクレーター斜面と自転速度の関係の調査です.

ふれあい天文学・八王子市立上柚木中学校

まだ桜が咲き始める前だった3月4日に八王子市立上柚木中学校でふれあい天文学の出前授業を実施してきました.対象は卒業前の3年生3クラスでした.授業の内容は,いつものように太陽系天体の成り立ちから小惑星の形についての話でしたが,最近の自分の研究成果も少し構成に加えました.春と言うにはまだ肌寒い時期だったので,体育館の中も少し冷えていました.お陰で...と言うと生徒さんたちには申し訳ないですが...あまり眠くならずに済んだようです.話し終わった後の質問も非常に活発で,ダークマターやダークエネルギーから 50億年後の人類滅亡まで色々と聞かれました.出前授業後のアンケートでも追加の質問を頂いて,目いっぱいの授業になりました.生徒さんはすぐに卒業して,進路が分かれるとのことでした.コロナ禍で学外活動への制限がまだ続いていますが,学生諸君にはたくさんの思い出を作って欲しいと願います.

(文責: 竝木則行)

退職によせて ~ 研究技師 浅利一善

1977年に当時の緯度観測所に入所以来45年が経過しました.入所から約10年後の1988年に国立天文台への改組,2004年には大学共同利用機関法人へ移行し現在に至りますが,まずは入所当時のことからお話したいと思います.  

当時観測所では数人のグループが観測装置の自動化をめざし,8ビットのマイコンボード(MCS-85)の勉強会を始めていました.私は入所前に,当時一世を風靡した?某社のTK-80キットを購入し組み立ていていたので一緒に勉強する機会を得ました.  

このころの装置のほとんどがトランジスタやロジックICで作られており自動化とは無縁のものでしたが,マイコンボードを使って最初に自動化したのがNNSS(米国海軍の航行衛星システム)のドップラー受信装置でした.

ふれあい天文学・青島日本人学校

2022年1月20日、中国の青島日本人学校の皆さんに「ふれあい天文学」ではやぶさ2についてお話しする機会がありました。Zoomを用いたネットワーク越しでしたが、小学部・中学部の皆さんと「ふれあう」ことができました。

今回、初めて二部構成に挑戦しました。小学生も参加した第一部の内容はやさしめにするよう心掛け、中学生を対象にした第二部では敢えて少し難しい内容も交えてお話ししましたが、皆さん集中して聴いてくださいました。 探査機、プロジェクト、小惑星、研究者の仕事に関して多くの質問がでた上に、授業の終わりには「実際にプロジェクトに関わった人から直接話を聞く貴重な体験となった」という感想をいただき、うれしく思いました。生徒の皆さん、授業の準備をしてくださった古川先生、ありがとうございました。 (文責:松本晃治)

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ふれあい天文学・セネガル ダカール補習校

10月30日にセネガルダカール補習校のふれあい天文学授業を行いました.

日本とは時差が9時間ありますので,ダカールでは朝10時,日本では夕方7時の開始となりました.始める前まで音声や映像がしっかり伝わるのか不安だったのですが,どうにか支障なく授業できたようです.

授業内容は太陽系天体の解説と,「はやぶさ2」,小惑星リュウグウの紹介です.小学1年生から中学3年生まで,参加者の幅が広かったので,内容と表記のバランスに気をつけました.それが上手く行ったのか,上手く行かなかったのか,質問タイムにはみなさんから手をあげてもらえました.保護者の方が一緒に参加されたご家族もおられて,少しは楽しんで頂けたのではないかと思います.

オンライン会議が普及して,海外校でもふれあい天文学が気楽にできるようになりました.また,双方向のコミュニケーションが取れるので,地理的な距離を超えた親近感も生まれます.テクノロジーの発展で世界がつながるのって良いですね.

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