VERA入来局施設公開「八重山高原星物語2009」報告

8月8日(土)、VERA入来局施設公開「八重山高原星物語2009」が開催されました。今年で8回目を数えます。地元自治体、大学、NPOなど多くの団体と共に盛り上げ、すっかり地域に根付いたイベントに成長しました。観測局の標高は540m、鹿児島県の西部、薩摩半島の屋根ともいえる場所にあり東西に錦江湾と東シナ海を臨むVERA4局の中でも見晴らし抜群の立地です。リピーターも多く、高原の涼しさも手伝ってか、毎年およそ2000人の方々が来られます。

八重山高原星物語の特色は、学生ボランティアによる科学実験コーナー、宇宙少年団、NPOなどによる様々な催しがVERAの施設公開と並行して行われる点にあるでしょう。鹿児島大学ではイベント開催2か月前から物理科学科3年生を中心に学生委員会が組織され、自治体を中心とする実行委員会の一員として準備にあたりました。地域社会との接点となるこうした活動は学生の社会教育の場ともなっています。ボランティアは鹿児島大以外にも鹿児島市と近郊の計6校の大学や専門学校から集まり、総数は200名を超えます。この大規模な人員をまとめあげるパワーには感服します。もちろん遊びに来た子どもたちはいろいろな催しに大喜びでした。

催しの目玉の一つがアンテナツアーです。高さ25mのアンテナに上り内部を見学するツアーは毎年大人気で、用意する整理券もツアー終了を待たずになくなるほどです。小さな子供が不つり合いな大きなヘルメットをかぶりアンテナに上ります。高さで足がすくんでしまい、上ったのはよいが怖くて降りられず、大人から励まされたり、抱っこされたりしながら降りる様子は微笑ましいものです。

今年は「世界天文年」でありこれまでになく天文学の出番が多いわけですが、ここ鹿児島での話題はなんといっても「日食」だと言ってよいでしょう。7月22日午前、鹿児島県の離島域を皆既帯中心とする日食が観察され多くの人々が真昼の暗がりを体験しました。そこで今年はVERA管理棟の中に日食に関する展示を設け、「かぐや」の成果や月の模型とともに解説を加えました。身近な自然科学の理解を深めてもらえたと思います。ひとつ残念なことに夜の星空観望会は雨で流れてしまいました。来年は晴れますように。

八重山高原星物語ブログhttp://blogs.yahoo.co.jp/sendai_river2007

「国立天文台ニュ-ス No.196より転載」<鹿児島大学大学院 中川 亜紀治>

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