ふれあい天文学 in 小笠原

東京都小笠原村にある、母島小中学校、小笠原小学校、小笠原中学校を田崎文得(国立天文台水沢VLBI観測所 特任研究員) が訪れ、ふれあい天文学を実施しました。ふれあい天文学とは、国立天文台の天文学者が全国の小中学校を訪れ、天文学に関わる授業を行う取り組みです。田崎は2月10日 (月) 午前に母島小中学校で小学3-6年生17名、午後に中学1-3年生11名、2月13日 (木) に小笠原小学校で小学4年生28名、2月14日 (金) に小笠原中学校で中学3年生18名に、ブラックホールに関する授業を行いました。

授業ではまず、その時期に見られる星空として、金星と水星のお話をしました。小笠原諸島父島までの24時間の船旅の間に田崎自身が撮った写真を示して「星が写っているのが見える人?」と聞くとみんな元気に手を挙げてくれます。ここでみんなが見つけたのは金星です。「もう一つ暗い星が写っているよ」というと真剣に目を凝らしたり、身を乗り出したり、時にはスクリーンやモニターの前まで出てきて、熱心に2つ目の星である水星を探していました (写真1)。最初に水星を見つけた児童・生徒が小さな点を指差すと、教室内からは感嘆の声と拍手が起こりました。

(写真1) 小笠原小学校での授業の様子。モニター上部に映っている金星を見つけた後、一生懸命水星を探している。左下の児童が見つけて手を挙げている。
(写真1) 小笠原小学校での授業の様子。モニター上部に映っている金星を見つけた後、一生懸命水星を探している。左下の児童が見つけて手を挙げている。
 

それからいよいよブラックホールについてのお話です。ブラックホールってなに?宇宙のどこにブラックホールがあるの?撮影されたM87のブラックホールはどんななの?といった内容をクイズに参加しながら学んでもらいました。またブラックホールを撮影したプロジェクト、イベント・ホライズン・テレスコープについてもお話ししました。

(写真2) ブラックホールについての3択クイズに挑戦する小笠原中学校の生徒 (左) とクイズの答えと解説を熱心に聞いている母島中学校の生徒(右)。
(写真2) ブラックホールについての3択クイズに挑戦する小笠原中学校の生徒 (左) とクイズの答えと解説を熱心に聞いている母島中学校の生徒(右)。
 

そして小学校での授業の最後には、ブラックホールなど宇宙に関連した内容の手作りかるたを使って、かるた取り大会を実施しました。本気で札を取る児童たちの白熱した戦いが見られました。

(写真3) かるた取りをする母島小学校の児童。真剣に絵札を見つめ、田崎が札を読むのを待っている。
(写真3) かるた取りをする母島小学校の児童。真剣に絵札を見つめ、田崎が札を読むのを待っている。
 

最後の質疑応答の時間には、ブラックホールについて、宇宙について、研究者について、たくさんの質問がありました。また身の回りの自然現象で普段から不思議に思っていることについて伝えてくれる児童もいました。授業時間が終わってもたくさんの手が挙がるほど熱心で、天文学に一層興味を持ってくれたことが伝わりました。この授業をきっかけに、これからも宇宙についての興味を持ち続けてくれれば嬉しいです。また、今回初めて小笠原を訪問して、児童・生徒と触れ合うことができたことはもちろんのこと、他では見ることのできない独特な自然環境、人々の営みを体験することができ、田崎自身にとっても素晴らしい学びの機会となりました。





文責:田崎文得

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