3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東北・関東大震災)により、水沢VLBI観測所の位置が東へ2.09m、南へ1.15m(東南東へ2.4m)、下へ0.13m動いたことが、GPSや欧州宇宙機関(ESA)が運用しているGalileo衛星を用いた観測から明らかになりました。これらの観測は、水沢VLBI観測所と研究協定を結んでいるドイツのGFZポツダム研究所と共同で行っているものです。今回の解析は、地震で停電後、無停電電源が切れるまでの1時間ばかりのデータを、ESAとGFZポツダムの研究グループが速報として解析した結果です。2008年6月に発生した岩手宮城内陸地震(M7.2)では、西方へ88mmの動きがGPSやVLBIの観測から求められていましたが、今回観測された動きは文字通り桁違いに大きな動きであり、この地震がいかに巨大なものであったかを示しています。
(岩手日日新聞、平成23年3月18日に記事掲載)
また、水沢VLBI観測所自身で運用しているGPSの観測結果では、地震発生後も余効的な動きや余震の影響で、さらに1割程度の動きが加わり、地震発生前の位置から東へ2.36m、南へ1.23m動いていることが明らかになっています。水沢VLBI観測所では、4つの電波望遠鏡銀を用いて銀河系内の電波源の距離を年周視差を用いて求める研究を推進しています(VERAプロジェクト)。電波源の位置を正確に決めるためには、まず電波望遠鏡の位置を数mmの精度で求めておく必要があり、今回のように地震に伴う観測局の動きも注意して観測しています。
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