日韓中3ヶ国にある東アジア地域の電波望遠鏡約20台を組み合わせて、最大直径5500kmの巨大電波望遠鏡と等価な解像度を発揮するための国際VLBIネットワークの協定書(MOU、Memorandum of Understanding)を締結しました。
調印は9月6日に韓国平昌で開催された「第11回東アジアVLBIワークショップ」において、国立天文台(台長:常田佐久、代理:小林秀行)、中国上海天文台(台長:シェン・ズィチャン)、中国新疆天文台(台長:ワン・ナ)と韓国天文研究院(院長:イ・ヒョンモク)の間で行われました。
東アジア地域には日本のVERA及びJVN、韓国KVN、中国CVNというVLBIネットワークがあり、これまでは各々が国内で個別に運用されてきました。しかしこれらが国境を超えて協力し、1つの巨大な国際ネットワークとして統合することでより一層強力な性能を発揮することができます。本計画はEast Asian VLBI Network(通称EAVN)と呼ばれ、日本からは水沢VLBI観測所が中心となって2008年から各国と協議や試験観測を重ねてきました。2014年には日韓合同観測網の運用が開始し、今回の研究協力協定により中国局も統合した日韓中の合同観測網がいよいよ動き出します。
「EAVNの運用開始によって、世界的に見ても優れた観測網を我々は手にすることになります。今後EAVNを用いてブラックホールなどについて興味深い研究成果が出るとともに、アジア地域を軸とした天文学の国際協力が進むことにも期待しています」(水沢VLBI観測所 本間希樹所長)
早速今月からはVERA4局、KVN3局、野辺山、上海、ウルムチの計10局による観測がスタートし、星の誕生現場やブラックホール周辺構造の解明を目指すとともに、今後はネットワークの更なる拡張を進めていく予定です。
文責:秦 和弘(水沢VLBI観測所 助教)
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