Milestones
VERA年表
注)気象観測、地震観測等に伴う成果は割愛しています。
緯度観測から始まった水沢
1765年 | スイスの数学者オイラーにより地球の極運動の周期を305日と予測 |
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1884年 | ドイツの天文学者キュストナーが極運動による緯度変化を確認 |
1899年 | アメリカの天文学者チャンドラーも過去の観測データから極運動を検知し周期を428日とした |
1895年 -1901年 |
東京天文台で緯度変化の観測 |
1895年 | 極運動調査のため同緯度への緯度観測所設置が国際測地学協会総会で提案 |
1898年 | 1900から5年間の国際共同観測が決議 |
1899年8月末 | 眼視天頂儀とともに木村が帰国 |
1899年9月 | 木村が所長就任とともに臨時緯度観測所の開設 |
1899年12月16日 | 眼視天頂儀による初観測が行われた |
1901年 | 初期成果が発表されたが、中央局から水沢の信用度は他の半分50点とされた |
木村が各観測所の残差が約1年周期で変動していることに気づく | |
1902年 | 極運動とは別の緯度変化を生じる新たな項(z項)について米国、ドイツで論文発表 |
ドイツ中央局でも新しい項(z項)の追加を受け入れ | |
1903年 | 原因を究明するため南半球での観測について、全会一致で決議された |
1914年 | 1901年から始まった地震や気象観測に加え、観測室付近の異常屈折の観測を開始 |
1920年 | 気球による上層気流の観測を開始 |
国際緯度観測事業の拡大とz項の原因究明
1920年 | 臨時緯度観測所から緯度観測所となる |
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1922年 | 水沢が国際緯度観測事業の中央局となる(1936年まで) |
1926年 | 地震波解析からジェフリーズにより地球流体核の存在を解明 |
1936年 | レーマンが核が外核と内核に分かれていることを発見 |
1938年 | 木村により国際天文学連合総会で一晩の観測時間を6時間へ延長を提案 |
1955年 | 一晩の観測時間を6時間に延長 |
1957年-1961年 | 流体核理解に必要な係数が求められ理論が構築される |
1962年 | 水沢が国際極運動観測事業の中央局となる(1987年まで) |
1970年 | 6mミリ波電波望遠鏡が三鷹キャンパス内にて完成 |
若生康二郎によりZ項の原因が流体核とその外側が独立に動く共鳴現象によると究明 | |
1971年 | 国際天文学連合シンポジウム“地球回転”開催(盛岡・水沢) |
1977年 | 笹尾哲夫により、流体核の応答をより簡単に効率よく求める方法を開発 |
1978年 | 江刺地球潮汐観測施設での地球の重力、傾斜とのひずみの観測が開始 |
1980年 | 極運動統一再計算結果出版 |
VERA計画につながる電波干渉法による装置(望遠鏡等)開発の調査検討が始まる
1975年 | 国際測地学協会総会にて新技術による組織づくりを急ぎ新旧両体系の比較を十分行うべしとの結論を受け宇宙技術による精度的に優れた超長距離干渉装置の検討開始 |
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1983年 | 地球回転・基準座標系用超長基線電波干渉法装置(第一次VERA*1計画)を立案 |
1985年 | 日本電信電話公社横須賀電気通信研究所3.3mパラボラアンテナを水沢に移設し技術習得を行う |
水沢緯度観測所は、VLBI保有が重要と捉え地球回転・基準座標系用VLBI計画を提言 | |
1985年 | 経緯度研究会にてVLBI技術による電波位置天文学の方向性としてVERAの用途を提示 |
1986年12月2日 | 眼視天頂儀による観測が終了 |
1987年 | 日本のVLBIシステムK-3を開発した郵政省電波研究所(現情報通信研究機構)と協定を締結 |
東京天文台(現国立天文台)野辺山電波観測所や国土地理院と協力し郵政省電波研究所鹿島支所と共同で、鹿島の直径26mのVLBIアンテナを使用しIERSに参加 | |
1988年 | 国際天文学連合(IAU)と国際測地学・地球物理学連合(IUGG)は、国際極運動観測事業(IPMS)と国際報時局(BIH)に代わり国際地球回転事業(IERS)を設立 |
1988年7月1日 | 東京大学東京天文台、緯度観測所、名古屋大学空電研究所を統合し国立天文台が発足 |
1988年 | 国立天文台発足により地球回転研究系と水沢観測センターに改組された |
ここから地球回転、VLBIによる電波天文学、地球惑星科学を柱として活動を開始 | |
6mミリ波電波望遠鏡を三鷹から水沢へ移設 | |
1989年 | 6mミリ波電波望遠鏡を野辺山へ移設 |
1992年 | 10m電波望遠鏡設置建設 |
高萩32m電波望遠鏡建設 | |
1993年 | 写真天頂筒による観測が終了 |
VERA計画が本格着手
1995年 | 地上VLBI統一計画ワーキンググループにより国内計画が統一され新たなVERA*2として各関連委員会の承認を獲得 |
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1996年 | 2ビーム相対VLBI法が発案される |
1998年 | 補正予算にてVERA関連の初期予算を承認 |
1999年 | 補正予算にて水沢、入来、小笠原3局の予算承認 |
川鉄マシナリー水島事業所にてマウント部、丹波エンジニアリングにて仮組・試験、三菱電機通信機製作所にて駆動制御の製造・試験実施 | |
2000年 | 補正予算にて石垣島局の予算承認
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2001年1月28日 | 鹿児島大学と国立天文台によりVERAの共同建設、共同運営の協定書締結 |
2001年 | VERA3局(水沢観測局、入来観測局、小笠原観測局)完成 |
2001年10月 | VERA水沢観測局ファーストライト |
2001年12月 | VERA入来観測局ファーストライト |
2002年2月15日 | VERA小笠原観測局ファーストライト |
2002年2月20日 | 水沢観測局-入来観測局間での初フリンジ検出 |
2002年3月21日 | 入来観測局にて2ビーム同時天体追尾成功 |
2002年 | VERA石垣島観測局完成 |
2002年5月29日 | 水沢観測局-入来観測局間での2ビームによる初フリンジ検出 |
2002年6月17日 | VERA石垣島観測局ファーストライト |
2002年12月 | クエーサー4C39.25の観測によりVERAによる初のイメージング成功 |
2003年5月 | 全局全バンドでフリンジ検出 |
2003年10月 | 第1回ユーザーズミーティング開催 |
2003年12月 | 試験的共同利用開始 |
2004年 | 位相補償イメージング成功 |
2004年2月 | 第1期公募開始 |
2004年9月 | 水沢からの全局遠隔制御可能 |
2004年11月 | VERA局間の測地観測に成功 |
2005年7月7日 | 日本と韓国によるVLBI相関器の共同開発に関する覚え書き調印式について(PDF) |
2005年8月 | 美ら研にて高校生が水メーザー天体を発見 |
2005年11月 | 毎日の運用を開始 |
2005年11月 | 大学連携VLBIに基づき、試験観測を実施 |
2005年12月 | 光結合局(国土地理院筑波32m鏡)とVERA局間での試験観測によるフリンジ検出成功 |
2006年 | 国際公募開始 |
2007年4月4日 | 旧緯度観測所本館の奥州市への譲与決定を通知(PDF) |
2007年7月11日 | VERAによる天体の精密距離測定に成功 |
2008年11月1日 | VERAとKVN間で初のフリンジ検出 |
VERAの技術が確立され、さまざまな研究成果へと広がる
2010年11月26日 | いて座腕までの距離を正確に決定 |
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2012年9月18日 | 人類史上最高の視力でみる超巨大ブラックホールからの噴出流 |
2014年 | KaVAの共同利用開始観測 |
2014年7月 | VERAを含む日中の電波望遠鏡による天体のイメージングに成功 |
2014年11月 | 日韓合同VLBI観測網KaVAによりVLBIで初めて44GHzメタノールメーザーを検出 |
2015年2月 | KaVAが活動銀河核の詳細なイメージングに成功 |
2016年5月 | 日韓共同VLBI観測網本格運用開始 ― うお座WX星周囲に見られる一酸化珪素メーザーの 高画質2色撮像に成功 |
2018年9月6日 | 日韓中による東アジアVLBIネットワーク運用のための協定書を締結 |
2018年10月 | 東アジアVLBIネットワーク(EAVN)の共同利用観測開始 |
2019年4月10日 | 史上初、ブラックホールの撮影に成功! |
2020年7月 | 日韓VLBIネットワークKaVAによる星形成大規模観測プログラム初成果:高速ガス流を噴き出す巨大な赤ちゃん星たちの姿に迫る |
2020年8月 | VERAプロジェクト20年の成果がまとまる −国立天文台水沢120年の歴史が達成した位置天文学の高精度化− |
2021年4月14日 | 多波長同時観測でさぐるM87巨大ブラックホールの活動性と周辺構造 − 地上・宇宙の望遠鏡が一致団結 − |
2022年5月12日 | 天の川銀河中心のブラックホールの撮影に初めて成功 |
2023年9月28日 | 歳差運動するM87ジェットの噴出口 ~巨大ブラックホールの「自転」を示す新たな証拠~ |
- *1 VLBI for the Earth Rotation study and Astrometry
- *2 VLBI Exploration of Radio Astrometry(天文広域精測望遠鏡)